倭歌は歴史を詠う 「豊国の万葉集」
於:小倉城庭園研修室 記紀万葉研究家 福永晋三
「万葉集」巻第三 雑歌 324番・325番
(明日香の古き都は、香春町古宮ヶ鼻の菟道宮?)
『万葉集』巻3に山部赤人が詠んだ「明日香の古き京師」の歌がある。その歌の題詞が「山部赤人が神の山に登って作った歌」となっている。その「古き都」の原文は「京師」となっている。
そして、題詞には「山部赤人が、神の山に登って作った歌」となっている。その歌の中には「春の日は ・・・ 秋の夜は ・・・」とか、「朝雲に ・・・ 夕霧に
・・・」の見事な対句が見られる。
赤人は、景色を述べる歌、叙景歌に強いという非常に優れた才能がある。
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赤人は、天武天皇の血筋を引く聖武天皇に仕えた歌人であるが、柿本人麻呂が仕えた天智天皇の御世を恋しがった歌のように思える。最後に「遠い昔を思うと」と詠んでいるが、まだ約100年ほどしか経っていない。しかし「明日香の古都」は、天智天皇の宮を指しているように思えてならない。