「邪馬臺(やまと)國=鷹羽國」説
    (福永晋三先生の倭歌が解き明かす古代史)


※ 第14回古代史講座古代田川を解き明かす
  記紀はなぜ鷹羽の神々を隠したか  ‐壬申之大乱との関わり‐
 (令和元年12月8日(日)、主催 田川広域観光協会古代史研究会 、於 福岡県立大学 大講義室)より

 記紀はなぜ鷹羽の神々を隠したか  -壬申之大乱との関わり-

■ 記紀から隠された瀬織津姫 ~ 瀬織津姫神の神徳

● 八幡比咩神は、太陽神アマテラスの対偶神・月の女神である瀬織津姫神

記紀から隠された豊国の織姫

八幡比咩神とは何か

隼人の蜂起と瀬織津姫神

菊池展明

 衆生の罪穢れを洗い流す水神にして、極楽浄土の彼岸へ
天の川原を渡らせる大海神

 円空が尊崇してやまぬその神は、大和朝廷によって
記紀の「正史」から追放された、太陽神アマテラスの
対偶神・月の女神
だった。
 封印された扉を開き、いま禁忌の女神がその姿を現す。

 

● 八幡比咩神は、太陽神アマテラスの対偶神・月の女神である瀬織津姫神

・・・ 通称、彦山流記(ひこさんるき)と言われている『彦山権現垂迹縁起抜書』の中に、「月氏の
   中國から来た神」=月神とある。
     九州年号「金光七年(西暦576年)」も書かれている。敏達天皇の時代に神が移されている。
   元々は、彦山の神を人間が勝手に移すのである。

月の女神の再発見
① 権現(天忍穂耳尊)は、氏の中國
 から来た神(月神、渡来神)
② 地主神(大物主)が権現に住所を譲
 り、妃の多紀理比売沖ノ島の神)を
 連れて、許斐山(糸田町)に移った。
 (金光七年「576年」)
「彦山権現垂迹縁起抜書」

 

● 宗像の金魚山に移る前の中継地が糸田町の木実山、糸田町にたぎり(泌泉)がある

・・・ 多紀理比売の別名が、田心(たごり)姫命という。この「田」と「心」の「田」を「氵」に
   したのでは、ないだろうか?
    この時の糸田町の田心姫命は、水神である。

糸田町の許斐神社と泌泉
鼠ヶ池木実山
祭神
大己貴尊 =
  大国主命
 英彦山北岳
から宗像の金
魚山の東の許
斐権現社に移
り祀られた。
写真「沁泉」
写真「許斐神社(糸田町)」

 

● 機織機のミニチュアが、多紀理比売が移った沖ノ島から出土

・・・ 沖ノ島に移った多紀理比売も織姫である。大物主の妻である多紀理比売も機織りの姫で
   あり、尚且つ水神である。色々な性格を持っている神である。

沖ノ島の国宝
  多紀理比売(織姫)
写真「機織機のミニチュア」

 

● 六月晦大祓の中にある早川を中元寺川と書いたので、瀬織津比咩も田川にいた

・・・ 滋賀県大津市の佐久奈度神社由緒に中臣金連が、「六月晦大祓」を創作したとある。

六月晦大祓
 遺る罪はあらじと祓へたまひ清め
たまふ事を、高山・(ひき)山の末より、
さくなだりに落ちたぎつ早川(中元
寺川)の瀬に坐す瀬織津比咩といふ
神、大海の原に持ち出でなむ
 (中略)
 かく失ひては、天皇が朝廷に仕へ
まつる官官の人等を始めて、天の下
四方には、今日より始めて罪といふ
罪はあらじ
 「六月晦大祓」を創作したのは中臣
金連
(のちの近江朝右大臣)で天智八
年(669)のこととされる。
(滋賀県大津市
 ・佐久奈度神社由緒)

 

● 添田町の玉屋窟に描かれている法蓮上人に如意宝珠を授ける龍が、瀬織津姫

・・・ 720年に大友旅人が、薩摩の隼人を攻めあぐねた時にその作戦司令を与えたのが、
   法蓮上人である。
    傀儡子(くぐつ)舞を使ったら隼人が出てきた。その出てきた隼人を皆殺しにしたのが、
   大伴旅人である。
    龍神(瀬織津姫)から如意宝珠を授かるという絵であるが、これは逆である。英彦山の
   瀬織津姫を消した張本人が法蓮である。
    瀬織津姫が、彦山の鷹巣山の真ん中の女神である。龍神であり、女神であり、鷹羽の
   神である真ん中の神こそが、『古事記』の最初に出てくる天御中主であると気付いた。

英彦山の始原の神
「彦御山宝印」
絵「法蓮上人像」

右:法蓮上人(宇佐氏)
 玉屋窟で龍(瀬織津姫)から
 如意宝珠を授かる

上:牛玉宝印 ※中心の女神=天御中主
 「鎮西彦山縁起」の開山説話に基づく

 

● 英彦山松会の御潮井取りが行われる行橋市の沓尾浜姥ケ懐潮井場の近くに龍日賣神社 がある

・・・ 龍日賣神社は、当然、彦山の女神である。龍日賣であるから龍神である。

英彦山松会 (御潮井取り)
「英彦山御潮井採り道程図」
「写真」

山内祓いの様子
(3月2日に清め祓いを行う)       

「写真」

龍日賣神社

「写真」

沓尾浜姥ケ懐潮井場
(福岡県行橋市)

「写真」

龍日賣神社

 

● 中島みゆきの「糸」の歌詞にある「仕合わせ」の意味の中に「経緯」がある

・・・ 【幸せ・仕合わせ・倖せ】の意味、③に「経緯」とある。経(たていと)と緯(よこいと)である。

「糸」の歌詞と織姫の徳
縦の糸はあなた横の糸は私
織りなす布はいつか誰かを
暖めうる
かもしれない
縦の糸はあなた横の糸は私
織りなす布はいつか誰かの
傷をかばう
かもしれない
縦の糸はあなた横の糸は私
逢うべき糸に出逢えること
人は仕合わせと呼びます (中島みゆき)
幸せ仕合わせ・倖せ】
( 名 ・形動 ) [文] ナリ
① めぐりあわせがよい・こと(さま)。幸運。
 幸福。 「友人のーを祈る」 「ーな生涯」
② めぐりあわせ。運命。 「我はそも、何時ぞや
 も言ふ如く、ーも悪ければ/仮名草子・竹斎」
③ ことの次第。始末。いきさつ。経緯。
 「無念ながらも長らへて、さて只今のーなり
 /浄瑠璃・出世景清」
経(たていと) 緯(よこいと)

 

● 瀬織津姫神の神徳は、百姓(おほみたから)の「災」を「祓い」、百姓に「仕合わせ・幸せ」を
 もたらす神徳

・・・ 瀬織津姫神の神徳=豊の国の織姫の神徳。これだけのことに渉って、田川の人々(豊国の人々)に
   恵みを与える神様、幸せを与える神様である。

瀬織津姫神の神徳
敵国降伏の神徳   (新羅征伐)
航海守護の神徳  (宗像大社等)
祈雨の神徳  (杵築市比枝神社)
疫病魔退散の神徳   (欽明紀)
昆虫(はふむし)の災いを除く神徳
         (瀬成神社等)
五穀豊穣の神徳  (闇無浜神社)
機織りの神徳 (日本書紀・神代)
百姓(おほみたから)の「災」を「祓い」、
 百姓に「仕合わせ・幸せ」を
 もたらす神徳