「邪馬臺(やまと)國=鷹羽國」説
    (福永晋三先生の倭歌が解き明かす古代史)


※ 邪馬台国研究 戦後の諸問題
 (令和二年霜月二〇日収録、第18回 古代史講座、主催:田川広域観光協会)より

 邪馬台国研究 戦後の諸問題

  「邪馬台国研究 戦後の諸問題」の動画を こちら からご視聴頂けます。

教科書「邪馬台国論争の地図」
令和二年霜月二〇日収録
第18回 古代史講座
主催:田川広域観光協会
撮影・編集:豊の国古代史研究会
  記紀万葉研究家 福永晋三
邪馬台国研究
    戦後の諸問題

 教科書にあるように邪馬台国論争は、大きく近畿説(大和説)と九州説のタイトルがある。これについて今日は語っていく。

 

 11月1日に「卑弥呼連邦」樹立宣言を田川の8市町村長にやって頂いた。次のスライドの通り「卑弥呼連邦」に対する批判的な記事が出た。

オカルト歴史が「日本遺産」に!?
     全国に広がる「偽史」町おこし

単なる山を「卑弥呼の墓」と自治体首長が猛アピール

 11月1日「邪馬台国は福岡・筑豊の田川地域にあった」と福岡県田川市など地元8市町村の首長が揃って宣言し誕生したのが、田川市など筑豊地域の地域共通のシンボル「卑弥呼連邦」だ。

 地元の文化財関係者に訊ねたところ、言葉を選びながらも「それほどの規模の古墳があれば、周辺地域に関連する古墳や遺跡があるはずなのですが、そうしたものはありません」というのであった……。

 田川広域観光協会は、こう答えた。
 「西日本新聞の記事にもありましたが――厳しいです。地元にそう主張するグループがありまして……発掘調査の予定? まったくありませんよ」なにか言いたげだがいえない。そんな印象が残った。

<取材・文・撮影/昼間たかし>

 相当に批判的な記事である。これに対して、もう一度きちんと偽史か否か語っていく。この記事に対する反論と捉えても良い。

 

・墨塗りについての二つの文部省通牒 ・「墨塗り教科書」の実例(水平の母)
・「バンザイ」等の習俗も墨塗り ・「暫定国史教科書」の目録
・占領軍に認められなかった「暫定国史教科書」

・戦後史学の源流は、津田左右吉説(神武~神功は架空は、実は非科学的)
・教科書から削られた「神武~神功」(邪馬台国連合、前期・中期の古墳、東アジア諸国との交渉)
    

・神代~神武の豊国の記録『宋史』日本國(王年代紀) ・大物主(=八千矛の神)は銅矛文化圏にいた
・水巻町頃末の多賀山が於能碁呂(おのころ)島 ・伊弉諾尊が名付けた日本(やまと)は古遠賀湾の周辺
・古遠賀湾沿岸の最古の稲作が青森まで伝わる ・下稗田遺跡の硯と鉄 ・立岩遺跡は倭奴(いぬ)国の遺跡
・弥生時代の絹が出土している遺跡は、九州だけ
    

・「邪馬台国」問題は純粋に文献学上の問題 ・隋書俀国伝に俀国は百済・新羅の東南に在ると記録
・隋が倭国に派遣した裴世清は竹斯國へきた ・法興元(591)年~白鳳元(661)年の倭国首都圏地図
・法隆寺金堂の釈迦三尊像の光背銘に九州年号「法興」 ・裴世清は阿毎多利思比孤と推古天皇に会った
・皇極天皇紀の倭国本朝と倭国東朝の2つの京師 ・663年に倭国本朝が白村江に敗戦
・白村江戦に倭船千艘で行った御笠団と遠賀団 ・唐の羈縻政策で筑紫都督府が置かれ大宰府は占領される
・天智天皇は唐の天子から国書が届き菟道で閲兵する ・大皇弟(=筑紫君薩野馬)が冠位を増し換える
・天智天皇が倭国から国号を日本に更める ・元は小国の日本が倭国の地を併せた首都圏地図
・壬申の乱に勝利した天武天皇が草薙劒に祟れり ・古事記と日本書紀は福岡県で編まれた(福永説)

・魏志倭人伝本文批判(陳寿の見ていた後漢書) ・范曄後漢書李賢注 ・謝承後漢書と翰苑
・邪馬壹國こそなかった ・七言絶句平起式 ・七言律詩仄起式 ・翰苑再読

・弥生時代の実年代 ・神代の倭人の記録(『論衡』、『漢書』地理志) ・「後漢書」東夷伝倭国
・三国志呉書「孫権伝」黄竜二年 ・卑弥呼の時代の東アジア ・丹後半島の古墳群     

・魏志倭人伝と日本書紀 ・倭国大乱時の「冢」か(宮原遺跡、ホケノ山古墳) 
・卑弥呼と呉、魏両国との関係 ・對馬國(高御魂神社) ・一支國(壱岐郡田河郷)
・末盧國はどこか(福永説)・伊都国へ(東南陸行五百里) ・卑弥呼の鏡=内行花文鏡
・倭国と東鯷国 ・臺與の遣晋使(生口とは何か)

● むすび 偽史はどっちだ⁉

 我々の説に偽史だと言った人が居ましたから、むすびは、「偽史はどっちだ⁉」という見出しにした。それで、原文を読もう!ということで、三冊紹介する。

 講談社学術文庫の『倭国伝』である。読み方、原文、書き下し文と口語訳、解説まで載っている。参考の後漢書が載っているように魏志倭人伝だけではなく、私がこの講演で述べてきたような倭国伝の部分が明史に至るまで全部書かれている。
 凄いことに魏志韓伝も書かれている。また、隋書俀国伝の前には、隋書百済伝も書かれている。この本は、お薦めである。この一冊で何百年にもわたる中国側の倭国伝が読める。

 なるべく原文を読みましょう。解説本だけを読んでいると解説した人の考えに同調したしたことになる。本当に邪馬臺国研究(倭国の研究)をするのであれば、まずこの本が第一のお薦めである。どんなに難しくても原文を読みましょう。

むすび 偽史はどっちだ⁉
原文を読もう!
「後漢書」冒頭の部分
講談社学術文庫『倭国伝』の表紙

 

 次に、我が国の記録を読まなかったら卑弥呼は永遠に探れないということで古事記である。これは、角川ソフィア文庫の古事記である。
 古事記の原文が、全て載っている。ここで載せたのは、神武天皇記であるが、原文はこのような物である。「レ、一・二、上・下、甲・乙、天・地」などの返り点や送り仮名も打たれていないが、但し、割注は小さく書かれている。これに対して、読み下し書き下しと口語訳が付いている。最低限、原文と対照しながら読む方が良い。
 古事記は、推古天皇までしか書かれていない。

むすび 偽史はどっちだ⁉
「神武天皇記」冒頭の部分
角川ソフィア文庫『古事記』表紙

 

 三冊目が、日本書紀である。岩波書店の文庫本で五巻ある。この神武天皇紀の原文を載せたが、岩波文庫の原文には、返り点や送り仮名が付いている。
 原文を見ながら読み下し文を読みましょう。この日本書紀の文庫には、口語訳はありません。注釈があるだけです。ちょっと骨が折れるが、何回も声を出して読むと何が書いてあるか粗方解ります。

むすび 偽史はどっちだ⁉
サンプル「神武天皇紀」冒頭部分
岩波文庫『日本書紀(一)』表紙

 『倭国伝』、『古事記』、『日本書紀』の三冊から女王卑弥呼、臺與、邪馬臺国(倭国)の記事が、3世紀にあるのであれば、倭国伝のどこが3世紀の記事で、『古事記』『日本書紀』のどこが3世紀の記録なのかを横に並べて読み通すだけでも色々な解説文を読むよりも皆さんがご自分の眼と耳と理性で読んでいかれたら、直ぐにその関係性が見える来ると思う。
 これが、今回私が邪馬台国研究 戦後の諸問題と題した内容である。今回は、この三冊の本の紹介でむすびに変えたいと思う。皆さん、どうか一生懸命、原文を読んで下さい。自ずと見えてくると思います。

 「むすび 偽史はどっちだ⁉」。一言言います。教科書ですか? 我々ですか? 以上です。